後立山南部(長野) 爺ヶ岳中峰(2669.9m)、南峰(2660m)、北峰(2631m) 2024年5月11日(土)  カウント:画像読み出し不能

所要時間 2:17 柏原新道登山口−−3:20 ケルン−−3:24 登山道を離れる(標高1800m付近) 2:17−−3:31 爺ヶ岳南尾根(標高1830m付近)−−4:54 ジャンクションピーク(2320m峰)−−5:48 爺ヶ岳南峰−−6:12 登山道を離れる−−6:14 爺ヶ岳北峰 6:16−−6:18 登山道−− 6:36 爺ヶ岳中峰 7:00−−7:12 爺ヶ岳南峰−−7:50 ジャンクションピーク−−(この間、立ち話や藪の刈り払いで1時間程度停止)−−10:27 登山道(八ッ見ベンチ)−−10:48 柏原新道登山口

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2023年5月5日 日帰り
天候快晴
山行種類残雪期の一般登山
交通手段マイカー
駐車場登山口前に駐車場あり
登山道の有無冬道(爺ヶ岳南尾根)は一部踏跡程度あり
籔の有無冬道(爺ヶ岳南尾根)は灌木や笹がはみ出た場所もある
危険個所の有無無し
冬装備6本爪軽アイゼン。雪が緩む日中ならツボ足可
山頂の展望南峰、中峰、北峰とも邪魔するものがなく晴れれば大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメント今シーズン初の北アルプス。昨年と同じくケルンのトラバース区間が終わった先の雪が連続し出す場所から南尾根に上がったが、残雪の量は少なかった。相変わらず南尾根には明瞭な踏跡あり。今回のルートでアイゼンが必要な距離は僅か10mほどしかなく、昨年よりも藪漕ぎが長かった。思ったよりも空気の透明度は良くて日光白根や燧ヶ岳を見ることができた。帰りには特に藪が濃かった2箇所でナタで藪を刈り払っておいた。すれ違った登山者は30人くらいで多かった。コロナ後遺症か下山翌日の疲労感が尋常ではなかった


2320m峰付近から見た爺ヶ岳南峰と中峰。山頂まで雪が続いているように見えるが、登山ルートには雪が無い場所のためこの先はアイゼン不要


柏原新道登山口前の駐車場。出発時は5,6台だった 登山指導所。通年設置かな
八ッ見ベンチの標識 八ッ見ベンチが南尾根入口だが今回は夏道を先へ進んだ
標高1660m付近で最初の雪が登場。でも欠片程度の大きさ ガレのトラバースから見た扇沢駅
ガレのトラバース中間点にあるケルン トラバースを終えると雪無し
少し進んで雪が広範囲に登場 ここで南尾根に向かう。昨年同時期より雪が少ない
最後は10mほど雪が無く藪漕ぎ 標高1830m付近で南尾根踏跡に合流
帰りに往路と同じルートを下るため目印を残すが・・・ 大町市街地の夜景。まだ真っ暗な時間帯
標高1910m付近。南尾根は短い残雪が稀に登場 標高1950m小鞍部の穴。昨年より成長している
標高2220m付近から見た蓮華岳。明るくなってきた(4時32分) 標高2240m付近。午前4時半を過ぎてライト不要な明るさに
標高2260m付近 標高2280m付近
標高2290m付近。難儀な藪。下山時に核心部は刈っておいた 標高2310m付近。ジャンクションピーク(2320m峰)直下
雪がカチカチなので軽アイゼン装着 ジャンクションピーク(2320m峰)
幕営跡 幕営跡×2箇所+テント1張
既に日の出は過ぎていた 雪解けが進んで完全には雪がつながっていない
再び雪に乗る 標高2340mで完全に残雪が切れて冬道へ
冬道で軽アイゼンを外す 標高2340m小鞍部で森林限界突破
標高2410m付近。先行者が見える まだ夏道は雪の下
標高2460m付近。先行者に徐々に追い付く 標高2600m付近
爺ヶ岳南峰山頂 南峰山頂の積雪期用目印旗竿
次は北峰に向かう。縦走路に雪は皆無 中峰分岐を通過
中峰分岐点から北峰方面の道 2つ目の中峰分岐でザックをデポ
北峰にはまだたっぷり雪が残っている 北峰を巻き終わって北側からアプローチする
爺ヶ岳北峰への登り。残雪が無いとハイマツ激藪 爺ヶ岳北峰山頂
爺ヶ岳北峰から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
爺ヶ岳北峰から見た爺ヶ岳中峰、南峰 爺ヶ岳北峰から見た冷池山荘
爺ヶ岳北峰から見た冷池山荘テント場。少なくとも1張ある ザックを回収して中峰に向かう
爺ヶ岳中峰山頂 爺ヶ岳中峰から見た爺ヶ岳北峰
爺ヶ岳中峰から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
爺ヶ岳中峰から見た立山、剱岳、剱岳北方稜線。木曜日に新雪が積もったようだ
爺ヶ岳中峰から見た北信の山々
爺ヶ岳中峰から見た南アルプス
爺ヶ岳中峰から見た中越〜尾瀬の山々
爺ヶ岳中峰から見た尾瀬の燧ヶ岳、至仏山 爺ヶ岳中峰から見た日光白根山〜錫ヶ岳
爺ヶ岳中峰から見た八ヶ岳と富士山 爺ヶ岳中峰から見た中央アルプス
爺ヶ岳中峰から見た常念山脈、穂高連峰、槍ヶ岳 爺ヶ岳中峰から見た穂高連峰、槍ヶ岳
爺ヶ岳中峰から見た薬師岳 爺ヶ岳中峰から見た爺ヶ岳東尾根と白沢天狗尾根
爺ヶ岳中峰から見た種池山荘 爺ヶ岳中峰から見たジャンクションピークのテント
下山開始。南峰に戻る 登山道には霜柱があった
鞍部から南峰への登り返し 爺ヶ岳南峰山頂
爺ヶ岳南峰から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
爺ヶ岳南峰から見た西の主稜線 爺ヶ岳南峰から見た爺ヶ岳南尾根
標高2450m付近 標高2450m付近から見たテントとその主
標高2360m付近で最初の登山者とすれ違う 標高2340m鞍部で4人+2人とすれ違う
標高2340m小ピークから振り返る ジャンクションピーク南の肩では2人+2人とすれ違う
標高2300m付近。ここで雪が切れて激藪に突入(一部刈り払った) 標高2280m付近はまだ雪があり藪を回避
標高2250m付近。まだまだ登ってくる 標高2160m付近。冬道は左の尾根に続いている
ショウジョウバカマは麓まで多く見られた 標高2050m付近。チェーンスパイクのデポあり
標高1950m小鞍部の穴 標高1950m小鞍部
標高1920m付近の標識。下側の文字は薄すぎて読めない 1917m標高点付近から見た南尾根
標高1900m付近のトラバースの藪(刈り払い前) 藪を刈り払った後。細かな枝が多く時間がかかった
標高1650m付近 八ッ見ベンチで夏道に降り立つ
タムシバ イワナシ
アズマシャクナゲの蕾。まだ咲いていなかった オオカメノキ
タチツボスミレ オオタチツボスミレ
柏原新道登山口(車道側を見ている) 柏原新道登山口(山側を見ている)
対岸の駐車場 登山口前の駐車場


 大型連休が終わり、標高がよほど高い山以外はもう雪が無い季節が来た。こうなると標高が低い藪山の季節は気温が低下する秋まで終了で、昨年と同じく今後は林道が冬季通行止めになるまでは毎週近場の北アルプス通いである。

 4月頭にコロナにかかって以来、きつい山ではいつもより疲労感が濃く出るようになってしまった。今年に入ってこれまでは1日の累積標高差は最大で1000m程度だったが、北アルプスでは最低でも1300mで、鹿島槍の北峰まで登ると2100m近くに達する。これに耐えられるか試す意味で、今シーズン初の北アルプスは一番楽な部類の爺ヶ岳とした。ここなら累積標高差は約1400mで、南尾根を使えば残雪のある今の時期でもアイゼンは使うかもしれないがピッケルは不要で軽量化が可能である。ついでに当日の天気予報は南風が入って高温で、長野市の予想最高気温は+31℃とのこと。山の上も暑いだろうから防寒着は少なくて済みそうだ。

 扇沢の県道は大型連休前に開通しているので柏原新道登山口までマイカーで入ることができる。木曜日は寒気が入って志賀高原や八ヶ岳では雪が降ったとのことで、おそらく後立山でも降ったであろう。しかし翌日の金曜日は快晴で下界では暑いくらいだったので、日当たりがいい場所の新雪はきれいさっぱり消えてしまっただろう。爺ヶ岳南尾根はその名の通り南向きであり、新雪の心配は無い。それよりも残雪が溶けるのが早くて藪が出ている心配をした方がいいだろう。今回は行程が短いので藪刈り用に鎌とナタを持って行くことにした。藪が特に濃い場所だけを個人でできる範囲で刈り払うつもりである。何せ今シーズンは夏道開通前に何度かここを通ることになるだろうから。

 会社を早く上がって扇沢へ向かう。出発時は日があって暑いくらいだったが、今の時期は日が落ちると気温の低下も早くてすぐに20℃以下になった。扇沢では半袖半ズボンでは寒いくらいであり車の中で重ね着した。柏原新道前駐車場は既に4,5台の車が止まっていて予想外の人気だ。金曜日は好天で土曜日も好天予報であり、会社を休んで入山した人が複数いるようだ。おそらく鹿島槍が目的地だろう。今頃は爺ヶ岳南尾根のジャンクションピーク(2320m峰)先の平坦尾根か、冷池山荘のテント場で幕営だろう。空は満天の星空でやや風は強かった。予想天気図では明日は南西の風が少し強くなりそうだが気温は高いだろう。駐車場の東端を確保して酒を飲んで寝た。

 今の時期はまだ日中は真夏ほど暑くならないため、日の出の時刻に山頂に到着しなくていいだろうと判断して出発は午前2時半前。山頂到着予定は午前6時である。この時刻なら充分明るくなって写真撮影にちょうどよかろう。それでもコース前半は暗闇の中の行動となるが、南尾根は昨年も何度も歩いているので登りなら問題なかろう。午前2時前はまだ車が上がってくる時間帯で、おそらく遠方からやってきた人だろう。これから仮眠に入るタイミングでこちらは出発である。2台の車のルームライトが点灯していた。

 扇沢周辺はすっかり雪は消えて春の気配満載で、地面にはスミレの花が咲いていた。種別判別のため距を見てみるとタチツボスミレとオオタチツボスミレであり、長野県では良く見かける種類である。他にはショウジョウバカマが見られたが、登山道を上がっていくとまだ花はほとんど見られなかった。ここは登山口の標高が既に1350mもあり、今年登った山の最高峰よりも登山口の方が高い(笑)。この標高では下界よりも季節の進みが遅いので花にとってはまだ時期が早いのは当然と言えば当然である。

 まずは夏道を行けるところまで行って、面倒なほど雪が登場したら南尾根に乗り換える予定である。例年の残雪量ならケルンの先まで行けるはずだ。南尾根と登山道の最終交点は八ッ見ベンチ(標高約1620m)だが、南尾根の標高が低い場所は笹が被って面倒なため、できるだけ登山道で高度を上げてから残雪を使って南尾根に乗り換えるのが得策だ。

 今日の体調だが出だしから足が重い。荷物が夏山装備と比較して軽アイゼン、ナタ、鎌、防寒着の分だけ重くなっているのが影響しているだろうが、それでもここまで重くは感じないはずである。コロナ罹患から約1ヵ月半経過するが、後遺症的なものが残っているのだろうか。これだと幕営装備は担げないかもしれない。まあ、当面は日帰りしかやらないけど。足は重いが登頂を断念するレベルではないのでそのまま登り続ける。ペースはやや落とし気味にして体力温存を図る。登り出してすぐに運動量が上がって体温も上がったので半袖に変身。ズボンも半ズボンにしたいくらいだったが、南尾根を歩くと笹のはみ出しがあり半ズボンはきついので、長ズボンの裾をまくって臨時の半ズボン状態にする。

 標高1660m付近で最初の残雪が登場するが欠片くらいで問題なし。その後もぽつりぽつりと残雪が現れるが気温が高くて雪が緩んでいることもありツボ足で問題なし。雪は適度に締まってほとんど沈まないので歩きやすい。雪の上には土に汚れた先人の足跡が見られた。予想通りケルンのある急傾斜地帯には全く雪は残っておらず難なく通過。その先で広範囲に雪が残って夏道を覆い隠しているので、ここから南尾根を目指すことにした。これは昨年も選択したルートであり、ほぼ南尾根直下まで雪が続いているはずである。先人の足跡もここで南尾根に向かったようで、トラバースする方向には足跡は無かった。ただし上に向かう明瞭な足跡も無かった。

 雪は適度な硬さでアイゼン不要でキックステップで登っていく。今回はピッケルは過剰装備と判断して代用品としてストックを持ってきたので、これを突きながら登っていく。やはりそれなりの傾斜の雪の斜面は手に何か持っていないと物足りない。上部で雪が細くなって昨年よりも雪が少ないのが分かるが、とにかく最も上まで雪が伸びていそうなラインを登っていく。

 そして雪が消えて藪が出ている境界に到着。おそらく南尾根直上は目前と思われるが暗闇と藪でそれは見えない。大して濃くない笹藪を分けると10mくらいで南尾根の明瞭な踏跡に飛び出した。帰りにここから夏道を目指すため目印を残したのだが、下山時に見事に見落としてしまった。

 南尾根の踏跡は濃いので暗闇でも見失うことは無い。大型連休中に登った白山北部の烏帽子山のルートよりもずっと道がいい。両側から笹が被るのは仕方ないが道そのものはしっかりしている。しかも笹が全く無い区間も多くてほとんど夏道レベルと言っていいくらいの場所が半分以上ある。しかもルートは尾根直上なので登りだったら迷う心配は無い。下りの場合は尾根の分岐があるので要注意だ。

 昨年もあった標高1950m付近の穴は拡大したようで、穴の上に平たい木が渡してあった。これは足元の土が崩壊して木の根で支えられた状態になっているからで、そのうちに本格的に崩落したら西側に迂回路ができるだろう。

 標高2260〜2280m付近は残雪に覆われていたが、その先の標高2290m付近は昨年は雪に埋もれていた箇所だが今年は藪が出ていて、根曲がり竹だけでなく木も混じった障害物で道が塞がっていた。かなり邪魔な藪だったので帰りにナタを振るって核心部だけは刈り払っておいた。木の直径がやや太かったので切断に力も時間もかかって翌日は腕が筋肉痛になっていた。

これを越えるとジャンクションピーク直下でやっとまとまった残雪が登場する。まだ日の出の時刻で気温が低く雪が硬く締まっているので軽アイゼンを装着。下山時は雪が緩んでアイゼンは不要だった。2310m肩に乗ればもうアイゼンは不要だが外すのが面倒なので、残雪が切れて雪が無い冬道に乗るまではアイゼンを付けたままにした。この時間には既に周囲は明るくなってライトが不要になった。今の時期の日の出は5時少し前であり明るくなるのは4時15分頃。今日は2時間ほどLEDライトのお世話になった。

 例年だとここで幕営者がいるのだが今年もいた。テントは1張だけだが他に3箇所の幕営跡があり、おそらく大型連休中のものだろう。ここは稜線東側直下で西寄りの風を稜線の樹林がブロックしてくれるし、雪の幅が広くて平坦なので幕営適地である。既に日の出の時刻を過ぎて東の空に太陽が上がっていた。テント内は静かでまだ寝ているのか、それとも鹿島槍へ向かったのか。もしこの先に人がいるとしたらこのテントの主に違いない。

 一箇所だけ残雪が僅かに切れて短いハイマツを通過して再び残雪に乗って終点まで雪を伝い、再びハイマツを強行突破して明瞭な冬道に乗り直す。ちなみにこの水平区間の残雪帯と並走する西側の主稜線直上に冬道があるので、雪が消えてしまったらそちらを利用する。もうこの先はアイゼンの出番はないはずなのでザックに収納した。

 ここは森林限界ぎりぎりで矮小なシラビソの樹林帯であり、少し進めば森林限界を超えて開けた斜面に変わる。これでこそアルプスらしい景色だ。右手(東)には志賀高原の横手山の左側には今年初の日光白根の姿が見えていた。南西の風なのであまり空気の透明度は期待していなかったが、湿度が低く予想よりいい状態だった。南には南アルプスが深南部まで見えているが、あちらの3000m峰の白さはかなり少なかった。八ヶ岳は真っ黒に見える。

 森林限界を超えたのでやっと先が見えるようになったが、単独者の姿を発見。テントの主に違いない。あちらの方が軽装だろうし一晩休んで今の私よりも体力もあるだろうから追いつくことはないだろうと思ったらあっさりと追いついてしまった。行き先は聞かなかったが鹿島槍の可能性が高いと予想したら実際には外れで、爺ヶ岳南尾根を往復してテントに戻ったようだ。おそらく昨日のうちに山頂に登ったのだろう。

 森林限界のジグザグの道を上がっていく。少し風があって寒さを感じたのでウィンドブレーカを追加したが、今度は暑くなったので前のジッパーを開けて放熱。手袋は防寒防水テムレスであったが、これではちとオーバースペックだったようだ。おそらく気温は+10℃くらいあると思う。南尾根には霜が見られなかった。昨年は石の上に霜が降りてツルツル滑りながら登った記憶がある。

 足が重いままなので快調とは言わないが、一定のペースをキープして登っていく。高度が上がると左手には春山らしからぬ白さの立山、剱岳が見えるようになった。爺ヶ岳では寒気が入った木曜日に降雪は無かったのが立山方面では降ったようだ。毛勝三山も白くなっていた。

 登りきって爺ヶ岳南峰に到着。およそ半年振りである。山頂には南側直下以外に雪は無し。もっと雪がある時期に登ったパーティーが使用したと思われる赤布目印を取り付けた竹竿が何本か置いてあった。大型連休にはもう雪がかなり減っていたはずなので、扇沢までの県道が開通する前に入山した時のものだろう。もしかしたら稜線北側の縦走路には雪があるかと思ったが、ここから見える範囲の縦走路に雪は無かった。

 次は残雪期限定商品の爺ヶ岳北峰に向かう。ここから見る北峰の稜線東側にはしっかりと雪が残っているのでハイマツ藪を回避可能だ。南尾根では霜も霜柱も見えなかったが、稜線北側の縦走路には霜柱ができていた。中峰との鞍部に下ると南側にはまだ大量の雪が残っていた。中峰山頂は帰りがけに立ち寄ることにして往路では縦走路で巻いてしまう。中峰北側の中峰分岐にザックをデポして軽アイゼンとストックを持ち、腕には携帯GPSを巻いて北峰に出発。

 相変わらず縦走路には雪は全く残っていない。この分だと冷乗越の鞍部付近まで下らないと雪はなさそうだ。でも冷池山荘のテント場の先の稜線にはまだたっぷりの雪が残っている。今年は最初の鹿島槍はいつ登ろうかな。縦走路周囲に花が見られないかキョロキョロしながら歩いたが全く見られなかった。6月に入らないとだめかな。

 北峰を巻いて北側に出てから縦走路を離れて稜線に上がる。稜線までは砂礫帯で藪は皆無。稜線直上だけハイマツが出ているが稜線のすぐ向こうは豊富な残雪があるので藪はほぼ無いと言っていい。残雪に乗れば障害物は無く傾斜が緩いのでアイゼンも不要だった。

 ほぼ1年ぶりに爺ヶ岳北峰山頂に立つ。ハイマツしかないので展望は良好。今日は東側は日光白根以外に尾瀬の至仏山、燧ヶ岳、平ヶ岳も見ることができた。テントの主がどこまで来たか縦走路を見るがそれらしい姿は発見できなかった。

 往路を戻って縦走路に合流して次は中峰。中峰分岐でザックを回収して山頂へ。ここでも雪は皆無のままで無人の中峰山頂に到着した。今日は予想外に展望がいいのでHPに掲載するためのパノラマ写真撮影を実施。ファイルサイズを大きくしてドット数をいつもの数倍で撮影しておく。どうせ縮小するのだがどれくらい縮小したか記憶に無いので大きめにしておくのが安全だ。久しぶりに志賀高原も八ヶ岳も南アルプスも同時に写った写真になった。

 山頂で短時間の休憩後に下山開始。時刻は午前7時でまだ山頂は無人のままだ。一般的には南尾根を登るならライト不要な明るさになってから出発するだろうから午前4時過ぎだろう。となると南峰到着の先頭は午前7時半以降が常識的な線だろう。いや、一般登山道ではなく冬道の南尾根なのでもっと時間がかかるかな。かからないのは藪屋くらいだろう。

 南峰に登り返しててっぺんから南尾根を見下ろすが人の姿はまだ見えない。距離があるので遠方だと見えていても人と判別できないだろう。特に私の場合は片目がほぼ見えないのでトータルの視力が落ちているからなぁ。

 下りは登りよりは脚力は使わないが膝を支える筋肉を集中的に使う。今年初のアルプスで最後まで筋力が持つか不安があるのでゆっくりペースで確実に足を進めていく。片目が見えないと遠近感が弱くなるため石が多いデコボコ道は特に歩きにくい。時々コケそうになるが地面は砂礫なのでもしコケても衣類が汚れる心配は無い。

 森林限界ギリギリの地点で4人パーティーに遭遇。そのすぐ後ろには軽装の2人組で鹿島槍往復とのこと。その後も続々と登りの人とすれ違い、合計で30人近くいたと思う。爺ヶ岳南尾根ですれ違った最高記録だ。中には冬靴の人がいたり、雪が現れても夏道をずっと進んで危険になってから南尾根に上がってきた人など様々だった。明らかにテント泊の大ザックの人も少なからずいたし、テント泊で鹿島槍を目指す人もいた。もちろん夏山シーズンよりはずっと少ないが、残雪期の北アルプスの中では多い方だろう。

 ジャンクションピークにたどり着くと往路のテントはまだ健在だったが、主の登山靴は外に出してあったので帰還したようだ。これからテントを畳んで下山だろう。さて、追いつかれるかな?

 2310m肩の下りの雪面は雪が緩んで下りでもアイゼン不要だった。この雪が消えた先が特に藪が酷いのでザックからナタを取り出して木も根曲がり竹も主要部分は伐採してかなり歩きやすくなったと思う。作業時間は結構かかったし腕が疲れた。この作業で根曲がり竹を切るなら鎌よりナタの方がいいことが判明。この後はナタだけ使って藪を払った。ナタで木を切る場合は木の直径全部を切るのではなく、斜めに切り込みを入れてあとは力任せに折るのが最も効率が良かった。ちなみに鋸はナタよりも力も時間もかかるのでお勧めできない(過去に経験済み)。

 他に比較的真面目に藪を刈ったのは標高1900m付近の稜線を微妙に東に迂回する区間で、稜線側から盛大に木の枝がはみ出していたり、足元には斜面に沿って寝た細い木があったりとかなり歩きにくかったが、これは時間をかけて解消した。

 下山も往路と同じルートで夏道に戻ろうとしたが、自分で取り付けた目印を発見することができずに気付かないまま通過してしまった。まあ、南尾根の道もそれほど悪くはないので問題ないけど。どうも南尾根下部の道は昨年より濃くなっているように思えた。

 やがて八ッ見ベンチで登山道に降り立ち、その後は登山道を下った。充分に明るい時間帯なので花を探しながら歩いたが、尾根上ではショウジョウバカマとイワナシのみ。登山道近くまで下ってからスミレが登場した。

 登山口に到着するとカメラを持った高齢者集団が登場。グループでの撮影旅行かな? 今回は下山で汗をかいたので扇沢に下って軽く水浴びをしたが、昨年とは流れが大きく異なっていた。そう言えば昨年はこのすぐ上流で工事をやっていたのでその影響か。

 柏原新道登山口前駐車場は当然ながら満車。対岸の駐車場はさすがにまだ空きがあった。日差しは強いが湿気が少なく、体を動かさない状態では日影に入ると寒いくらいであった。


 心配していた体力だが、コロナ罹患後は罹患前と比較して確実に低下しているものの、この分なら標高差1600m位までならどうにか大丈夫そう。ただし、今の状態ではそれが限界だろう。下山翌日の疲労感はこれまで感じたことが無いほど酷いもので、一歩も外に出たくない気分だった。そのうちに標高差1600mの常念岳に登ってどのくらいきついかを確認し、大丈夫そうなら白馬岳でさらに確認して、最終的には鹿島槍日帰りが可能かどうか挑戦かな。鹿島槍がOKなら私が登る北アの日帰りの山はどこでもOKなので、最終目標は鹿島槍だ。

 

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